はくまいびより

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Summer Pokets感想

【注:この記事はネタバレを多大に含みます。もしまだ未プレイの方はネタバレ有考察のゾーンまで読まないことをお勧めします。(『以下ネタバレ』と再通知します)】

 

 こんにちわ。

 今回はKeyさんのゲームであるSummer Poketsをプレイしたのでその感想を書きます。めちゃくちゃ面白かったです。ノベルゲーからは久しく離れていましたが、絶賛されていたこともあったり、時間ができたので取り掛かってみるか、と思った次第でした。想像以上の満足感を得られました。

 私はiPadにてアプリ版の物をプレイしました。と言うのも、アプリ版はなんと鳴瀬しろはさんルートが無料でプレイできてしまうのです!。感動です。「お金もかからないし、とっかかりとしてはこれでいいか~」と思って始めたのですが、まんまと嵌まってしまい結局4000円払って全ルート開放してしまいました。いやいやいや下手なゲーム(なにフェスとは言わないけど)に4000円課金するくらいならこれ買った方がはるかに満足感高いんで!とプレイ後も思えるくらいにはよかったです。いやほんと、もし容量と時間が余っててちょうどいいノベルゲー探している人いたら是非鳴瀬しろはさんのルートだけでも是非是非。無料なので。(といいながら結局4000円落とした顔)

 Keyの作品は他にはリトルバスターズしかやったことないです。アニメではAngel beatsCharlotteを見たくらいでしょうか。まあそういうわけで熱狂的なKey信者と言うわけでもなく、Key作品のファンというわけでもなく、Keyの回し者とかでもないですが、せっかくだから感想書きます。

 全体的な感想としては、まあKey作品を一度でも触れたことがあったからかはわかりませんが、ギャグのセンスとか、ストーリーのテンポとかに冗長性は感じませんでした。いわゆる気持ちよくプレイできた、という感想です。面白いところは面白くて、その日常の中にシリアスと言う名の不穏をぶっこんでくる感じが本当にうまいなぁと思いました。『島、夏休み』という舞台で紡がれるストーリーは、現代社会でただ怠惰に日々を過ごしている自分にとってはかなりクルものがありました。島行きたい。夏休みしたい。ノベルゲー初挑戦の人に勧めるかと言われると、うーん。まあいいような気はします。少し難しい気もしますがこういうゲームをプレイする時点でそういうの理解できるくらいの人ではあると思うので初挑戦としてよろしいのではないでしょうか?Key色が苦手だっていう人だとどうなんでしょうか…?でもキャラもかわいいしストーリーも良いので安易にお勧めします。まあ私はストーリー重視の傾向が強いのでキャラ云々は許容できるくらい可愛ければできます。(でもいくらストーリ良くてもキャラが壊滅的に合わないやつはマジでできない。やっぱ視覚情報と声とキャラ設定は大事)

 長くなりましたが、以降からネタバレ含む感想書きます。攻略した順に書いていくので、共通→鳴瀬しろは空門蒼久島鴎ヴェンダース→ALKA→Pokets→思ったことの順で書いていきます。ちょっと思うままに描いたのでだいぶめちゃくちゃな場面あるので次に余裕あるときにでも直します。

【以降ネタバレ含む】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【共通】

  島特有(?)のフレンドリーさ、田舎特有のフレンドリーさ(噂の広まるはやさ)など、そういうのが根底にあるうえで話が進むが、それがキャラクター達との会話の中でもいいアクセントとして出てくる。出てくるキャラクターに悪いやつが誰一人していない。みんないいひと。ほんとこのくらい恵まれた人々に囲まれてみたかったとプレイしながら思った。ルートに入るのは大してむずかくない。そのキャラのアイコンの選択肢を選び続ければたぶん行けるはず。少なくとも攻略サイト見なくてもルートは入れるので全然大丈夫だと思う。そういう心配は皆無。ネタバレ以降読んでいる人は概論わかるだろうしいろいろ端折って書くことにする。

 現実から逃げてきた(?)主人公は、この島にたどり着く。正確には、この島に逃げてくる。その後島の人たちと出会い、『一度しかない楽しい』夏休みを満喫していく。しかし、根底には水中への恐怖がある。これはヒロインルート入ると克服するので、主人公の成長物語としても良かったように思う。期待とは常に重いもので、主人公はその期待の重さに羽を折ってしまった。その羽を治すのがこの島だった、という構造だと認識したが、間違っていないと思う。そして、両親からの無関心が主人公の心をまた空虚にしてしまった。まあこの辺はヒロインルートで何とかなる。

 共通ルートも大事だけど言うてそんなに改まって書くことでもないな、まあとにかく共通ルートも楽しかったということでここはひとつ。

 

鳴瀬しろはルート

 まずルートにいつ突入したのか全くわからなかった。それぐらい自然に入るものだからセーブをこまめにしすぎた感はある。まあ無料版なのでどうやっても鳴瀬しろはさんルートしか行けないんですけど。後述するけど無料でこれやらせるのうれしいし、後半のALKAを思うと一番最初にやるというのは正解な気がしなくもない。

 普通にかわいい。料理できる女の子っていいよね。彼女のルートを終わった後に私はそのストーリーの純真さ、ピュアさ、綺麗さに感動した。まあこれはちょっと自分の考え方もあるんだけど。

 キスやR18シーンはまあそりゃあれば盛り上がるかもしれないけど、いや違うんだって、そういうのって特別じゃん、快楽でむさぼっていいモノじゃないじゃん、神聖なことじゃん、儀式じゃんという考えが根底有るので、単純に鳴瀬しろはさんのルートをやったときに感じたのが、『恋愛ゲームにキスなんてなくてもいいんや…なくてもこんな話が描けるんや…』とただただその純真さに己の心が洗われた。

 同様に驚いたというか、良かったのは、『通じ合っている、分かりあっている』という状態のうまさだ。このルート、最後の最期で「あなたの事を好きになりました」と両者告白する。なんて…なんて綺麗なんだ。「どこに告白シーンもってくんのかなー」と漠然と思いながらプレイしていた自分を恥じた。恋愛ゲームで告白シーンが最後に来るとは思ってもいなかった。自分の想像の狭さを思い知った。というかこのすごいところは、ルート上で(仮とはいえ)夫婦にすらなっている2人が、告白を最後にするんですよ?やばくないですか?だってそれってもう恋人以上じゃないですか?ねえ?しかもキスしてないんだよこの2人って唸ってた。マジ話し相手が近くにいないのがただただ悔しい。

 そういう意味でこのルートを表現するとしたら、『純真』に尽きると思った。自分と関わると不幸が訪れるから、と周りを想って距離を取ったしろは。しかし、主人公と関わることで、主人公を介してみんなと再びかかわりをもち、楽しい夏休みを過ごし、その先にある未来、友人たちと共になんとしても未来を変えようとする展開は少年ハート持っている自分にとっては激熱すぎた。終了後余韻に浸る。あまりにも綺麗な芸術作品を見ると、余韻がかなり来るが、こんなに余韻に浸ったのも久しぶりだった。芸術作品として優れていた。私は難しい考察とかはできないが、「ああ、いい話だったなぁ」ぐらいの感想しか抱けないが、満足した。迷った挙句iTunes cardの10%ボーナス期間を待って4000円版を購入した。

 

空門蒼

 今年の夏は蒼の七影蝶を探しに行くので私の事は探さないでほしい。いや探させてほしい。なんだこれ。いやなんだこれ。あまりにも素晴らしくて終了後あほ程ぼーっとしてたし普通に2日以上も余韻に浸ってしまった。事前に(?)言っておくと、私はこのストーリーが、このキャラクターが本編の中で一番好きです。というか圧倒的に好きです。鳴瀬しろはさんのルートもかなり好きだったけど、蒼の話しはもうなんというかストーリー構成が感動するレベルで整っていた(個人的に)。「私もこんなストーリーを描けるようになりたい」と思うほど、ほんとうに精緻なストーリーだったと思う。

 人によってはいろいろ思うところはある気がする(藍の病状悪化したのなんで?的な)が、あれは起承転結の転として非常に優秀だったので許した。

 このストーリー、個人的にはとんでもないエネルギーと言うかストーリー性が満載で心拍数がアホほど上がった。すごくすごかった(語彙力)。

 大雑把に挙げると、

・目覚めのキスという童話を彷彿させるストーリー

・蝶(昆虫)を探す(追いかける)という子供の時を彷彿させるストーリー

・物語のはじまりは、姉妹のすれ違いというありきたりなストーリー

・姉妹愛のストーリー

・起こすのは、いつだって主人公の役割

・永眠と永い眠りの表現

・綺麗な蝶が、途中から畏怖の対象に見えてくる。

・蝶は『花の蜜に集まるもの』という常識も彷彿させる伏線

 この話、私は最初藍が七影蝶触りすぎて昏睡だったのかなぁと思っていたがそういうわけではなかったというのが唯一引っかかっているところ。「蒼のため(?)に七影蝶に触りまくって昏睡した藍」を「藍のために七影蝶に触りまくって昏睡する蒼」という構造なのかと思ってプレイしていて、もしそうだったら対比の構造が素晴らしすぎるだろうと思っていたがそういうわけでもなく。

 この話の肝というかどのストーリーでも肝だけど、「主人公がいたから成立した」というのが一番だ。今回で言えば、七影蝶の記憶を本体に戻す方法(記憶を共有する方法)。まあ呂の字だ(呂の字っていう表現にまたすごいなと思ってしまった)。

 蝶を追いかける。子供のころ、誰だって経験したんじゃないだろうか。花の周りに蝶がいれば、指をさし。ちょうちょをつかまえようと網をもってぶんぶん振り回していたころを思い出す。夏はいつだって、そういう出来事があったはずだ。しかしいつからか、蝶を見ても何も感じない。「あ、春が来たのかしら」と思うくらい。いつからこんなに変わってしまったのだろう。でも、確かに蝶を追いかけていた、蝶に関心を持っていた時代があった。その感情を思い出させてくれるストーリーだった。

 また、このストーリーは「眠り姫を起こすのは目覚めのキスである」という、童話を彷彿させるような展開が個人的に熱い。熱盛。さっきもいったが、キスは特別な儀式なんですよ、そんじょそこらの道端でちゅっちゅうふふするようなモノじゃないんですよ(偏見)。

 さらにいえば、双子シンパシーとでもいうのか、そういうスピリチュアルも組み込まれており、「いやいやいや根拠なさすぎそんなこと言われても」ではなく双子だからと言う理由だけで「………」という謎の説得感。主人公も察している。というかあの瞬間俺は完全に主人公だった。なんだこれ。いやなんだこれ。どっちもがどっちもを愛しているんだなぁ、姉妹愛だ…。すばらしき姉妹愛。

 もっといえばこのストーリー、始まりはすれ違いだ。そんなありきたりなところからこのストーリーは始まっている。そして、そのそのすれ違いが、認識の違いで、蒼は『藍』が見えなかった。ずっと近くにいたはずなのに、見ることが出来なかった。「私には見えないんだ」というときの蒼の絶望感と言うか、脱力感は、なかなかクルものがあった。

 眠ってしまったお姫様を起こすのは、王子さまって相場が決まってるんだよなぁ。この話、最初の方は「寝坊」という単語にそれほど意味はなく感じていたが、後半では「寝坊」の意味が全く異なる。1週間の寝坊。その重さはぞっとする。でもやっぱり、バイトでも、木の下で眠っていても、病室で長く眠っていても、起こすのは主人公だ。最後までやった人であれば、「おはよう」という挨拶が如何に特別かはよくわかると思う。それは普通に言える言葉であり、ありふれた言葉であるはずなのに、それがいえる相手がいることの幸せ。それを、ただただこのストーリーからは感じた。

 最期の方で、蒼を背負って思い出の場所をめぐるところは涙なしでは進めなかった。体から大量の七影蝶が現れた時は美しさと恐ろしさを同時に表現していたと思う。「むしろいいことなんじゃ?」と言った主人公。そのあとの「蒼、お前はちゃんとそこにいるよな!?」という願い。それも非情。イナリの吠えるのをみてすべてを察し、追いかける。そこでも、「花が散ったら七影蝶は提灯によってこない」という伏線を見事に回収する。『蝶は蜜を吸うために花に集まるもの』という常識さえもこのストーリーからは彷彿され、ただただその精緻に張り巡らされたストーリーに感動しっぱなしだった。

 蒼の七影蝶が降りてきたとき、蒼の「恋の記憶」が流れた時は本当に本当にもう、ね。

 エピローグも非常にいい。今年も、夏休みが始まる。そして、お寝坊さんは目覚めのキスで起きる。多分その未来にはいくつもの幸せがあるんだろうなぁと、終了後も想像力働く素晴らしいルートでした。マジでこんなストーリー書いてみてぇ…、かけるようになりたい。もうここまで読めばわかると思いますがほんとこのストーリー良かったんですよ…。

 まあでも…このストーリー…大筋のストーリーに対してはそれほど重要かと言われると…ど、どうなんですかね…。あまりにも完成度が高くて興奮しましたが本編での立ち位置的にはやっぱり鳴瀬しろはさん一強みたいなところは…まぁ…(と思って公式のショートストーリーも読んだけどなるほどこうなると若干話がかわってくるわね)。ひとつのルートとしては非常に無駄のない綺麗な完成度で終始感動しっぱなしだった。無料版やった人は空門蒼さんだけでも是非やってください、980円なんで。是非。

 愛って…こういうことの事を言うんだよなぁと漠然と、一つの答えを見たような気がして満足しました。

 どうでもいいですが蒼色はどちらかと言うと新緑を見たときに言う「あおい」色で、藍色は若干緑がかった青色らしいです。藍が姉なのは、空の色(藍色)と緑の色(蒼色)っていう意味なのかな?とか、単にあ「い」あ「お」で五十音的にも上だからかなとか漠然としたことを考えていました。

 

九島鴎

 まず、このルートに入って唐突にゾッとした。というのも、うみちゃんの口調が遥かに変わっていたからだ。「え、もしかして蒼の時(2週目)も変わってたか…?」と思い返したが記憶にはなかった。明らかな口調変化でストーリ展開も若干の変化がある。主に漫画のくだり。なぜぞっとしたかと言われれば、今までしっていた人(キャラ)が全く知らない人物になっているのに、主人公たちがいつもどおり接していることだ。いや、他のルートやってた時もさすがにうみちゃんなんかキーパーソンなんだろうなとは漠然に思っていたが、ここまであからさまな変化が訪れるとその違和感というか、不和というか、不気味さが際立ち文字通り鳥肌が立った。同時に、次はどんな感じに変わるのかしらと楽しみは増えた。

 さて久島鴎さん。出会いのストーリー的に「このヒロインあんまり好きくなれなさそうだなぁ」と思っていたが、行動選択で行ってみたら案外好きなタイプのキャラだったので苦も無くするするとプレイできた。このストーリーを表現するなら「夢と現実」「夢を叶える」といったところだろう。

 ところどころで「実は過去に会っていたんじゃ?」と言うようなミスリードがあり、というかあからさま過ぎてたぶんミスリードだろうと思ってプレイしていたが、その記憶は昔読んだ本の記憶ですという形に落ち着き納得した。そう、へじゃぷである。

 まあただ、死んでいるは予想外だった。事前に蒼のルートやっていたこともあって。七影蝶の知識があったから混乱しなかった感はある。

 ストーリーとしてはちょっとよくわからないところ(特に最後)もあったが、概ね気にもならず、まとまっていたと思う。しろはのところでも書きましたが、やっぱ「みんなであつまってなんか大きなことをする」って本当にいいよね。

 それは一つの物語(Fiction)だった。夢であった。でも、彼女はそれを現実にしようとした。夢を届けようとした。夢をかなえようとした。

 島に訪れた彼女は、夢みたいだよ、という。まさしく、彼女にとってこの島での出来事は夢のようなのだ。

 夢という表現は非常に興味深い。夢を使った有名なものと言えば「君の名は」とかもある。あれは夢と現実が逆転するという超大でんぐり返しだった。まあそれはいいとして。

 なぜか「将来の夢」という夢と、「眠っている時に見る夢」は同じ表現が用いられる。個人的にはこれが未だに不思議である。2つの意味は若干違うことはわかるはずなのに、なぜかこの2つを弁別する表現は(この国には)ない。まあつまり何が言いたいかと言うと、久島鴎にとって、海賊船探しは「夢」であり、島での出来事もまた『夢』だったということだ。(いや、この島に限っては夢じゃないかもしれないが。)

 そして、それは10年前、久島鴎をモチーフにした作品を読んだ読者が夢想した「夢」である。夏休みに冒険。心躍るではないか。彼女はそんなたくさんの『夢』を、あるいはFictionを文字通り『現実』にした。

 ああそうか、いまの自分にはこのワクワクさが足りないのか、と単純に冒険をしてみたい気持ちが沸き起こった。

 

 

ヴェンダース

 うみちゃんの口調がさらに変わっており料理もできなくなっておりいよいよ恐怖を感じた。まあそれはいいとして。

 ストーリーとしては好きだ。うん。ただ会長と紬が絶妙にわたしに合わず、終始閉口していた。ストーリーは好きだし、良かったと思う。しいていうなら、この話はあまり島の不思議は絡んでいないような、というくらいの認識だ。

 神隠しという現象も、このルートで唐突に表れたものだし、他のルートでなにか掘り下げられたわけでもない。このルートはだいぶ他のルートに比べ隔絶されているのを蟹じた。しいて言うなら『あの空間』に行くくらいだが…結局あの空間が何かとかすぐに理解できたわけではないのでルートプレイ中「???」という感情は多かった。

 紬の「遅刻」、紬の「写真」、紬の「日記」というように、徐々に核心に迫るような雰囲気は非常によかった。物語としてかなりドキドキする構造になっていたと思う。

 何回も言っているが、やっぱりみんなで大きなことを何か成し遂げる、誰かのために何かをするって本当にいいよね。1年のイベントを1週間に全部詰め込もうというシーンの話しは進めるたびに「あぁ…終わってしまう…」という感情が働き指が進められなくなったのでオートモードで眺めながら無理やり進めた。その中で登場人物はみんな楽しそうで、こんな1週間、過ごしてみたいなぁと自分も外から見ている子供のように思っていた。誕生日の時なんて涙なしには語れない。

 

 

ここまで書いて疲れたので、ALKAとPoketsは後日加筆します。下書きでもいいかなと思うんですが一応出しておきます。